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「伝統文化こども教室」事業は文化庁から委嘱を受けた(財)伝統文化活性化協会の事業です。


by immemorial_moon

第12回目 写経

 明けましておめでとうございます。
2010年が皆様にとって良い1年でありますようお祈りいたします。

 新年恒例の講座は「座禅・写経」です。

 あれやこれやと情報が氾濫する時代にあり、一年の計を考えるこの季節だからこそ気持ちを落ち着かせる術を学び、気持ちが落ち着くという感覚を感じて欲しいということがこの講座の大きな狙いです。
写経と言っても小学生、般若心経の意味を易しく説いた言葉を書いてもらいます。
「空のこころ かたよらないこころ こだわらないこころ ひろくひろく もっとひろく」です。
今日はとにかく「無」になること!「無」になるという感覚を感じること!それがテーマです。

 今年も隣町の「みんなの寺」のご住職にお願いをしました。
ご住職には「無」と言う今日のテーマをお伝えし、それについてのお話をお願いいたしました。
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子ども達は、ご住職が入って来るといつになく緊張の空気!(よしよし、一年に一度ぐらいは緊張は必要だ!)
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ご住職のお話は・・・・
「無」ということを話す時に、考えて欲しいのは「念」という言葉。
「念」というのは「今」の「心」と書きますね。「今していることに心を集中させる」ということです。
「無」とは何も考えないでぼ~っとしているというのではなく、「念」の状態を「無」というのです。

お習字やお勉強しているとき、「帰ったら宿題しなきゃ」、「早く終わらせてお友達と何して遊ぼう」などとよぎる考えが「雑念」。お友達を時間を忘れるほど楽しく遊んでいるときは「無」の状態。
という事をわかり易くお話をしてくださいました。

 私も「無」ということ、「念」ということがストンと心に落ち、「念」、好きな字になりました!!

 そして座禅が始まります。静寂な時を・・・・と思っていたのですが、よりによって向かい側の部屋からおじさんたちの唸る詩吟の声が・・・・・
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座禅の後、ご住職から『「無」になれた人?』との問いにみんなシーン・・・
「隣の声が気になった人?」の問いに全員が挙手・・・・私も挙手・・・
そこで、「うるさいな~~やめてほしい~~」と怒りの感情が湧いたらそれが「こだわるこころ」です。
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また、お友達に「あの人はこんなことする人だよ、いやな人だよ」と言われたりすると、自分は初めてその人に会うのに最初から「あ~そうかあの人はそんな人なんだ」と思い込んでしまうのが「かたよったこころ」です。と、教えていただきました。

 詩吟の声も「今日の写経の言葉」を理解するため、そして私達が抱く「雑念」ということをはっきり手に取るように分からせてくれた良い教材でした(笑)

 では、写経です。まず墨を磨ります。
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 今日は「念」の気持ちになり「無」の境地で向かって欲しいので、時間をかけて書いた人を讃えることとしました。子ども達はシーンと本当に静かに筆を持って書いていました。
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早く終わったのが3年生軍団。学年が進むほど、集中し時間をかけることで「できること(みえてくること)」が増えるのでより丁寧になってきます。

 一番最後まで書いていたのがRちゃん。1時間弱、かかって書きました。
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今日は、「時間」をかけることで「念」ということを体験できればと思いました。 
 今日書いた写経は、後日「みんなの寺」に納経に行きます。
今回で今年度の筆を持つ講座も終わり、和綴じ作品集の最後のページに貼る作品も出来上がります。
最後のページを飾る言葉を書いて終わりにしました。
                ↓
        「手習いは 坂に車を押すごとし」
 「手習い」という部分を「サッカー」、「野球」、「ピアノ」etc・・・どんなことでも同じだよ。

 次回は2月、茶道体験Part2、今年度最後となります。お菓子もお楽しみに!!
# by immemorial_moon | 2010-01-16 22:26 | 講座

第11回目

 今年度最初の「茶道体験講座」です。茶道の中の重要な部分で「書」が生きています!

初めての子ども達はなんだかわからないけど、いつもと違う「お菓子」が食べられそう♪とワクワクしてこの日を待っていた様子で、その気持ちがわかるのでこちらも頑張っちゃいます(^^)

 受講生の保護者の方々にお渡ししてあるお便りと重複した文になりますが、当日の写真と一緒に再度お付き合いくださいませ。

 茶会ではもてなす側(亭主といいます)は、お客様に「気持ちを伝える」ために心を込めて設えを施します。
「テーマ」があるわけです。歓びの茶会あり、送別の茶会あり、四季を友に愛でる茶会あり、忘年の茶会、新年の茶会・・・等、お客様と亭主の気持ちの交歓が出来れば最高の一期一会のひと時が生まれます。

 今回は12月なのでクリスマス茶会の趣向です。多くの人はキリスト教徒ではないと思いますが、クリスマスのワクワクした楽しい気分は享受させていただきましょう。

 茶会の中で亭主の伝えたい気持ちが一番表れるところが「床の間」です。
今回の亭主は私になります。今回は何を伝えたく、何を感じて欲しいか考えました。

          そして、『わ』が今回のテーマです。
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床の間のお軸は『龢』(わ)
「和」と同じ意味に使われています。
「和」は軍事的な「和平」のことで。『龢』は字の中に「龠」(やく)という農耕のお祭りの時に使われた三孔(穴が3つ)の笛が入っており、「音楽が和調する」という意味です。
2つの「わ」いずれにしても、「やわらぐ、ととのう」ということになります。
中国の古い書物には、「和なる者は、天下の達道なり」と、和とは最高の徳を示す語とされています。(以上 白川静 「字統」より)
 日本の聖徳太子は「和を以って尊しとす」と言ったと伝えられていますね。

 また、クリスマスに飾るリースの「わ」の形にも意味を求め、ご近所の英語の先生に尋ねたところ、リースの「輪」の形には「始まりもなければ終わりもない」「永遠」という願いが込められているとのこと。だから生命力がある常葉の緑、生葉で作るのが本来だそうです。

 この日は私の姉弟子のF先生にお手伝いいただきました。
まず始まりは、席入りの仕方、茶室という「お茶の国」への入場と床の間の拝見をしました。
子ども達はいつもと違う足取りで「畳の縁」を踏まないように注意しながら入室。
F先生から「今日はたくさんお辞儀をします。そのお辞儀は全部意味があるのです。こんにちは、お先します、お先しました、いただきます、ご馳走様でした、ありがとうございました、さようなら・・・といつもの生活と変わりないことをするだけです。今日はお茶室でするお辞儀の意味をわかってください」とお話がありました。
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し~ん、とした中で、私も今日は書道の国からお茶の国の人になりお点前担当!

懐紙が運ばれ、お菓子が運ばれ・・・・・子ども達の表情を見ることが出来ないのが残念~~~!
第11回目_f0163726_1443951.jpgお菓子・・・その① 「わ」のお菓子♪ 尾張名古屋の「藤団子」(きよめ餅本舗)五色の輪で一人分です、嬉しいでしょ!
その② 「もみの木」 (玉澤総本店)

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そして、お茶が運ばれ・・・・この日の運び込みは昨年の伝統文化こども教室の卒業生達が手伝いに来てくれました。始まる1時間前から「お運び」の特訓でした(^^;上手になりましたよ。
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 一席終わった後は、「しゃかしゃか」したい人?と言うと「は~~~い」と全員挙手!
「しゃかしゃかタイム」です。お友だちに点ててあげました。
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 最後に今日の復習を兼ね、私からのほんの少しのクリスマスプレゼント(サンタが可愛いでしょ)を「お先します、お先しました」で廻してもらいました。小さい子が両手をついてお辞儀をする様の可愛いこと!うつくしきものです!
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 今日のテーマである「わ」とリースの「永遠」から何かを感じてくれただろうか????

恒例の一人一言では見事に話題は「お菓子」と「しゃかしゃかタイム」のことばかり(笑)
案の定です(笑) 子ども達も楽しかった、私たちも楽しかった!それが一番「豊か」ということに繫がっていくと信じています!

 今回もいろんな方にお世話になりました。お軸は大学時代の先輩の書いたものをお借りしたものです。一目見た時から「これだ!伝統文化こども教室の時のテーマ決まりっ!」と心に決めていましたので快く東京から送っていただきましたこと本当に感謝しております。見事に床の間に映えました!

今年も、受付では芳名録記帳もしましたよ~~

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# by immemorial_moon | 2009-12-08 14:32 | 講座

第10回目

今年度のこども教室も、後は写経、茶道2回と3回を残すのみとなりました。

今年度は今まで書いた作品を「和綴じ」にして記念に残そうと、「和綴じ作品集作り」を企画しました。
・・・・が・・・・小学3年生からの子ども達です「伝えたいこと、できること」の見極め、2時間の中で何が出来るか、スタッフと何度も検討を重ね準備にかなりの時間を要して臨みました。

案ずるより産むが易しか、人事を尽くして天命を待ったからか、こちらの企てた段取りの流れに遅れずにみんなついてきました!子どもの能力ってやはり凄いですね。

では、様子を・・・・・

◎お好みの表紙の柄を子ども達に選んでもらいました。予め台紙に借りおさえしておいた表紙を糊で台紙に接着。これも予め仮止めしておいた作品を台紙に挟み、両脇を洗濯ばさみで止めます。
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◎和綴じで使う針穴はスタッフがまとめてあけることとしました。
その間、子ども達は、表紙に貼る「あゆみ」の題箋と名前を墨書しました。
出来上がったものは乾かしておきます。
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◎さぁ、和綴じですが、その前に・・・・・
和綴じの運針の指導をスタッフのSさんにお願いしたところ、「竹簡」「巻子」「折帖」そして今回体験する「四つ目和綴じ」と本の変遷を調べてくれたのでそのお話を聞きました。

「竹簡」・・・・この見本は実はSさんが買った干し柿を巻いていたもの(笑)実際の竹簡の寸法よりは短いのですが、それに私がお経を書いた即席の「竹簡」です。
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「ほら、開いた形を見てちょうだい、この形!『冊』の漢字でしょ~」と言うと、素直で感性豊かな子ども達は「お~~~っ!本当だ」と、期待していたリアクションがありこちらも満足(笑)

「巻子本」・・・・こんなところで披露するとは・・・・私が大学時代に書いた唐時代の懐素という人の「自叙帖」の全臨(最初から最後まで全て臨書すること)作品です。丁度巻子本仕立でしたので、探して引っ張り出して持って行きました。
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「折帖」・・・・これも大学時代の作品です。今回は図らずも古の遺物が役に立ちました。
子ども達はどれも初めて目にするものなので、お話にしっかり耳を傾けていました。
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◎いよいよ、和綴じです。
Sさんの丁寧な解説のお陰で子ども達はこちらが案ずるよりスムーズに運針をしました。
針仕事を楽しそうにしているのにはとても驚きました。終わってからも新聞紙を縫っているのは男の子に多かったですよ。
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◎さぁ、表表紙に題箋と名前を貼って仕上げです。
立派な「和綴じ作品集」が出来上がりました!!エクセレント!
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ここまで所要時間1時間半!はっきり言って凄い集中力でした!
子ども達は始めてのものには特に興味をもって取り組みます。最後に言ってもらった一人一言のコメントで「達成感がありました」と言ってくれた子がいましたが、「こちらこそ!」です(笑)

それぞれ味のある題箋が付いた作品集をみんなにお披露目です。
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次回は今度の日曜日、「茶道体験」です。
お菓子の話をすると「おめめキラキラッ!」の子ども達!風邪引かないでね~
# by immemorial_moon | 2009-11-30 10:41 | 講座

作品発表

11月7,8日に開催された、市民センターまつり作品を展示させていただきました。
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パネルを4面いただけたので、絵手紙、半紙作品、活動の様子を映したスナップ写真、拓本とリレー書道の作品とバラエティに富んだ展示ができました。

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# by immemorial_moon | 2009-11-09 10:21 | 作品発表

第9回目

 10月24日(土)、この日「ENJOY」は熱かった!
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 先日拓本取りを体験したので、この日は夏にお世話になったMAKOTO先生をお招きし「拓本の話」、そして、自分たちで取ってきた拓本の字を、実際にリレー書道で書いてみることにしていました。

MAKOTO先生の「拓本の話」。
 中国の「始平公造像記(しへいこうぞうぞうき)」、「牛橛造像記(ぎゅうけつぞうぞうき)」(ともに書道史上とても有名な碑)の拓本を見せてもらい、今でも書を学ぶも者の手本になっていることを教えてもらいました。
 また中国の山に一文字がとてつもない大きな文字で刻されているお経の中の一文字「楽」の拓本、やはり中国の古いお墓の壁画の拓本、そして、MAKOTO先生の郷土にある碑の拓本を見せてもらい、それぞれの碑が建てられた目的や書かれている内容などを教えてもらいました。
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 子ども達は内容的にはハイレベルなことを、MAKOTO先生が易しく噛み砕いてお話してくれたのでとても興味深く聞いていました。また、実際に触って拓本のぽこぽこ感、中国の臭いを感じていました。

実際に拓本取りを経験していた後だったので、理解も早く、興味感心も深かったかな?

 そして、この日は東西2つのグループに分かれ、先日自分たちで取った拓本の字を、一人一画書いて筆を次の人に渡すリレー書道で書いてみます。審査員(この日はセンターの方3人)に勝敗は決めてもらうことにしていました。

 東にMAKOTO先生、西に私が入ります。
まずは、自分がどの画を書くことになってもいいように半紙練習です。
子ども達はいつもよりも真剣・・・・責任あるものね(笑)
この「山神」の碑は江戸時代に建てられたもの。「神」の「しめすへん」が「示」になってるね。
そんなことを知るのも勉強です。
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 本番前に、MAKOTO先生、私、お手伝いの高校生2人、飛び入り参加の受講生のパパさんの5人で模範リレー揮毫!
私たちも真剣、この時には自分の書くところが決定している子ども達も筆運びを見逃すまいと真剣です(笑)
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そして本番!
自分の番が来ると深呼吸、一画書くごとに「ほっ!」「お~~」とみんなハラハラ、ドキドキです。
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結局この日は2対1で西チーム(右側)に軍配は上がりましたが、審査員の皆さんは「どちらも甲乙つけがたく、それぞれにいい作品です。字は一生の宝です、書道をこれからも続けていってくださいね。」との励ましの言葉をいただきました。
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MAKOTO先生の総評として「気持ちがストレートに現れる書、形に美しさを求める書、書の2つの面がそれぞれ現れましたね。」とのこと。
本当ですね、 個性が光る東チーム(左)、品良くまとめた西チーム(右)と言ったところでしょうか(^^)

最後に皆から一言づつ感想を述べてもらいました。
「MAKOTO先生の拓本の話が分かりやすく面白かったです。」・・・・ほとんどの子
「神の昔の字がわかりました。」・・・上級生
「リレー書道で自分の書くところが上手にかけてよかったです。」・・・ほとんどの子
「MAKOTO先生に、夏に書いた条幅作品のハネを教えてもらいました。ありがとうございました。」
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暫くぶりで皆が筆を執るのをみましたが、用筆が随分と上達していて驚きです。夏の条幅作品書きで鍛えられましたね。

11月7,8日の市民センター祭りにこの日の作品も展示しますのでみに来てください。

(おまけ)
上手にかけているので、半紙練習したものも載せちゃいます。
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リレー書道は、3年生が「山」を4~6年生が「神」を書きましたので、練習も担当課題を書いています。
# by immemorial_moon | 2009-10-26 15:56 | 講座